本の虫生活

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【欲望の時代の哲学】マルクス・ガブリエル教授

 先週からはじまった、この番組が気になっている。

 

NHKドキュメンタリー 欲望の時代の哲学2020 マルクス・ガブリエルNY思索ドキュメント」

https://www4.nhk.or.jp/P5372/

 ドイツ、ボン大学で最年少29歳で教授に就任したマルクス・ガブリエル氏のドキュメンタリ―番組。この人のことは、以前新聞記事でインタビューを目にしたのが切っ掛けで知っていたけれど、その後まったく目に触れる機会がなく正直なところ忘れていた。

 

先週録画したことを思い出し、短いドキュメンタリーを見た。

短いながらも鋭く、軽妙で、少し皮肉な一面を覗かせる軽やかな受け答えに惹きこまれ、さすが現代きっての哲学者だと思った。

 

番組自体は短いせいか、そこまで深く話題に突っ込むことがなく少し退屈に感じる。わかりやすさ、とっつきやすさを負い過ぎている感があるが、逆にそこが物足りなさというか、好奇心、もっと知りたいという"欲望”を炙り出している。

第一回のテーマは「自由意志」

難しそうな大きな話題だけれど、語られるのはSNS、世界中で見られる利己主義、貧富の差を生み続ける資本主義など、至って「当たり前」となった日常の話で。

 

SNSは民主主義を攻撃する

権力闘争に利用されるFacebook

毎日幾万幾億とも知れない悪意や敵意の応酬、憎悪を生んでしまうTwitter

「なりたい私」「演出したい私」を作り出してくれる虚像のインスタグラム。

 

「わたし」の自由意志とは、何に担保されるものなのか。

自由とは、自由意志を持つとはどういうことなのか。

わたしの欲望が満たされることが、果たして本当に自由なのか。

 

テンポよく進む番組は、さらっと流れてしまう感じがしたが、見逃さないように、思考を留めないように、着いて行こうとすると本当にあっという間で一瞬に感じた。

うかうかしていると、何か恐ろしいことが起こるかもしれない。

明日は"当たり前”の明日じゃなくなるかもしれない。

社会はずっと変容を続けていて、気づかなければ失ってしまう、わたしたちの「自由」を一度立ち止まって考えなければいけない、そういう気分になる。

 

とりあえず、今日はこれからカントの本を買いにいくことにした。

 

 

今夜、第2回の放送があるらしい。

リアルタイムで観ようかな。

 https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/91878/1878375/index.html