読むことと書くこと
最近、小説を書いている。
書いているといっても、書き方を調べた訳でもなく、ただ適当になんとなく、文章の形を小説っぽく整えて切り貼りしている。
今まで何冊の本を読んだのか、千冊くらいかなあとぼんやり思うけれど覚えてはいない。ただ、大量の本を読み続けても、語彙というのは意外と溜まらないし、小説がいきなり書ける訳ではないとよく分かった。
2021年1月1日、文字通り元旦から何を思ったかショート・ショートを書き始め、長いものでは3万字越え、短いものでは3千字足らずの文章を、ずっと量産している。思いついたテーマをつらつらと書き連ねるのを続けていたら、辞め時を失ってしまった。
自分で適当であっても書くようになってから、今まで読んできた『小説』というものは何なのか、心動かす文章とはどういうものなのか、考えるようになった。ある風景ひとつ、動作ひとつ書くにしても、表現の仕方によって感じ方は異なる。気分が沈んでいるのか、高揚しているのかで見え方は変わるし、視覚情報を描写するのか、匂いや音を描写するのかでも違ってくる。書いてみると、ただ主人公の視点から見た世界を描くだけでも一苦労だった。
自分は読んできた小説や、新しく読んだ小説を『書く』視点から読み返すと、あまりのうまさに唸った(当たり前ですが)。描写ひとつとっても工夫が凝らされていて、文字から風景が浮かび上がるだけじゃなくて、登場人物のものの考え方や感情が綺麗に、しかもさりげなく感じ取れるように書いてある。
一番重要なのが物語の構成、終盤につながる話の作り方で、小説のテーマが曖昧なまま書くと、話を収束させられなくなってしまう。たまにもやっとする読後感を味わうことがあるが、それはわたしの場合、物語の結末に納得できないとか、一貫したテーマを感じられなかったとか、そういうことが多い。小説を書くとただ言っても、
①話の構成
②テーマ
③場面設定
を細かく考えておかないとできないし、これに加えて表現の技法が必要になる。
いままで「面白いなあ」としか思っていなかった小説を、書くという視点で見ると全然違う感想がでてくるのは、目から鱗だった。
読むほうが大好きだけど、偶には書いてみるのも違った楽しみが生まれるので、楽しかったという感想です。