本の虫生活

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

読書

2021年迎春_やっぱり好きな中華系小説

2021年、あけましておめでとうございます。 予想通り、コロナの落ち着かない不安な年明けですが、ずっと続く訳ではないのでこの機会に今年も在宅でできることにチャレンジしたり、なにか一つ技能を磨いたり、ブログを更新できればいいなと思います。 特に、2…

2020年ベスト小説【ベスト10まで】

年が明ける前に、2020年に読んだ本のなかのベスト10を記録しておきます。 ※2020年に出版されたというのではなく、単に2020年に読んだ本のなかで個人的なベスト10を選んでいます。 それでは、まず第10位から6位まで 第10位『巴里マカロンの謎』 巴里マカロン…

【五十音順・おすすめ小説紹介】62冊目 中村文則

おすすめ本紹介、62回目。 もうずっと更新していなかった五十音順小説紹介シリーズ、62冊目。 心機一転、タイトルを変えました。 銃 (河出文庫) 作者:中村 文則 発売日: 2012/07/05 メディア: 文庫 ようやく中村文則さんまで来たかと思うと、この五十音順紹…

バルガス・リョサを読んでみた

本当は『緑の家』を読もうと思ったのですが、下巻だけ本屋になかったためこちらが初読になりました。 アンデスのリトゥーマ 作者:マリオ・バルガス=リョサ 発売日: 2012/11/07 メディア: 単行本 ノーベル賞作家ということも知らず、以前誰かがTwitterで書評…

1,000冊の作品を読んでも、また貴方に会いに戻る

漫画が好き。 小説とか小難しいノンフィクションとかも好きだけど、漫画は他には代えられない魅力がある。華やかな絵柄、登場人物たちのくるくる変わる豊かな表情に心理描写、劇的な展開、濃い内容でもあっという間に読めてしまうスピード感。どれも好きで、…

ソロモンの偽証検証_【後編】"信じる"ことのその先に

ソロモンの偽証、感想後編です。 ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 上巻 (新潮文庫) 作者:宮部 みゆき 発売日: 2014/10/28 メディア: 文庫 5-6巻 あらすじ ついに始まった学級裁判。8月15日終戦記念日、快晴のなか開廷された裁判。全日程5日間の濃密な時間がはじ…

ソロモンの偽証検証_【前編】隠蔽と開示

ソロモンの偽証、新潮文庫1~6巻、読了しました。 長いので、2回に分けて感想を書きます。 ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫) 作者:宮部 みゆき 発売日: 2014/08/28 メディア: 文庫 最初に、簡単にあらすじと登場人物について簡単に紹介します。 …

4~6月 自粛中読んだ本(と読んでない本)まとめ

突如はじまり、そして解除後も続く緊張感。 3月頃はまだ、こんなことになるとは想像していなかった外出自粛要請や商店の休業、緊急事態宣言、5月の宣言明け、そしてここ数日の再びの感染者の増大。 働き方も変わるなかで、否応なしに家にいる期間が長くなっ…

【五十音順・おすすめ小説紹介】61冊目 中島敦

おすすめ本紹介、61回目。 コロナ禍の外出自粛で、思っていたよりも読書が捗っていなかったですが、緊急事態宣言下で、普段あまり手に取らない本を読んでみようと思い、中島敦に挑戦しました。 タイトルだけは知っていた南洋通信です。 南洋通信-増補新版 (…

コロナ禍の予言?『夏の災厄』読了

コロナ禍の予言ともいわれて、SNS等でにわかに話題になっていた篠田節子の『夏の災厄』 、手に入れることができたので読んでみました。 読書会に選書にもしましたが、もっと書きたくなったのでこちらにも載せます。 夏の災厄 (角川文庫) 作者:篠田 節子 発売…

いまさら彩雲国語り②「宰相」(鄭悠舜・李絳攸)

前回の記事で、細かい読み解きをという話をしたので、ちょっと書いてみます。 彩雲国物語の最後の外伝、『骸骨を乞う』の読み解きに挑戦です。 彩雲国秘抄 骸骨を乞う 上 (角川文庫) 作者:雪乃 紗衣 発売日: 2016/02/24 メディア: 文庫 ※※本記事では、彩雲国…

いまさら彩雲国語りー‟骸骨を乞う”から見える王ー

巣ごもり、もとい外出自粛生活で積読がすこしずつ目減りするなか(しかし無くなりそうにはない)、更新をすぐにサボるこのブログを書こうとするもやる気が出ず挫折。 テレワークでなぜか増える仕事量のせいか、無味乾燥な毎日になっていたので、昔好きだった…

小さく壮大な冒険

小説交換でいただいた作品。 タイトルは知っていても読んだことのない、うつくしい表紙の本で、しかも人が交換してくれたものなので、何となく勿体無いような、すぐ読みたいような気がして昨年読みました。 さらっと読めてしまうけど、今日せっかく雪がすこ…

3.11から

アガサクリスティの作品?と思いきや、こと"日本らしい"、過去になりつつある東日本大震災、福島第一原発事故を日常から見つめた作品集でした。 象は忘れない (文春文庫) 作者:柳 広司 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2020/02/05 メディア: 文庫 読む前…

パヴァーヌ 読了(2回目)

昨年読んだなかでも1、2を争う奇天烈なSF『パヴァーヌ』の2週目読了しました。 2019年ベストの記事でも書いたけれど、1回目の読了時では全然消化できなかったのでじっくりと2週目を読みました。 この間読んだアンナ・カヴァンの『氷』と同じサンリオSF文…

【五十音順・おすすめ小説紹介】60冊目 フィリップ・K・ディック

おすすめ本紹介、60回目です。 こちらの連載記事はなかなか筆が進まず、久しぶりの更新がとうとう2020年になりました。今年はどんな本に出会えるかワクワクします。 読んで頂いている方はご存知と思いますが、この連載記事では著者の五十音順に、わたし…

2019年ベスト本10選

もう年越しまであとすこし。 今年読んだ本の振り返りを兼ねて、読んだ本の中でベスト10を選びました。 今年は新しい本からあまり読んだことのなかった海外小説、話題の本もランクインしました。 素敵な本が多くて選ぶのが難しかったけれど、特に衝撃的だった…

天はもう要らない ー白銀の墟 玄の月 感想 ―

十二の国に、十二の王。 徳を天に認められた王と、その王を支える慈悲の生き物、麒麟。 仁治が約束された世界で、それでも争いは絶えない十二の国の物語の集大成は、 ‟天はもう必要ない” なのかもしれません。 白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫) …

菜食主義者ー狂気の美と日常の憎悪

目立った特徴がどこにもない、「平凡でふつうな女」だと思っていた妻は、ある日を境に「知らない女」になってしまった…。 これは、Twitterで流れてきた『読んだら体調が悪くなる』という凄い感想を拝見し、俄然読みたくなった本です。実際、読んでみたらどう…

【解答編】夏は読書の季節

13日の金曜日。 何もないとわかっていても、来るたびにちょっと特別感のある13日の金曜日は、ちょっと得した気分になります。 それはさておき、今日は前回upした記事の解答編です。 完全に趣味で選んだ、しかもランダムに抜き出した箇所のクイズだったので、…

【問題編】夏は読書の季節?

読書の秋という言葉をよく聞くけれど、わたしにとっては夏の方が読書界隈の盛り上がらいを感じます。 夏休みの読書感想文に合わせた新潮文庫の100冊、集英社のナツイチ、角川のカドフェス(フェア名はこれで合っていただろうか。ちょっとうろ覚え)があって…

『車輪の下』から見た景色

夏休み新潮文庫100冊の定番、『車輪の下』を読了しました。 あまりにも有名なため、あらすじも知っていて読んでないのに読んだような気になる本のひとつで、ようやくちゃんと読めました。 300頁に満たない短い作品ですが、鬱屈した仄暗い雰囲気と、少年の目…

【おすすめできない】わたしの読書感想文

世間はいつの間にか夏休み。 周囲はお休みを取り始めたり、行楽らしき人を駅で見かけたりすると、夏休みがはじまったことを感じます。 自分の仕事は夏休みを一斉に取らないので、お盆もふつうに働くと思いますが、この時期のお祭り感は嫌いじゃありません。 …

結婚、ってなんだろう

周りの結婚ラッシュがはじまった。 職場の同期や先輩、大学時代のサークル仲間、そして小学校来の友人まで、ここ1、2年で次々と結婚していく様を見ると、ほんとうにラッシュってあるんだと普通に驚きました。 今日紹介するのはこの本です。 結婚帝国 (河出…

横溝正史を読む

ほぼ10年ぶりに横溝正史を読んだら、まんまとハマりました。 昭和の生糸王、 犬神佐兵衛の遺言状に端を発する凄惨な連続殺人事件に名探偵金田一耕助が挑む、日本のミステリ史に名を馳せる作品です。 犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫) 作者: …

若様組がいとおしい

畠中恵の明治西洋菓子シリーズ「アイスクリン強し」の前日譚、「若様組まいる」を読了しました。 若様組まいる (講談社文庫) 作者: 畠中恵 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/07/12 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る ずいぶん前にシリ…

純粋な推理の極限

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ」 本の題名にもなったこの台詞。こんな短い一文から一つの筋道立った推論を導きだすことは可能なのか。安楽椅子探偵ものの純粋な推理の極限を見ることができる作品です。 九マイ…

アフリカという魅力

いつか読みたいと思っていた小説のひとつ、コンラッド『闇の奥』を読了しました。 闇の奥 (光文社古典新訳文庫) 作者: コンラッド 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る イギリスの船乗りマーロウが、…

【鵺の碑はいつ…?】鬼・河童読了

百鬼夜行シリーズの最新作の連続刊行第一弾と第二弾、『鬼』『河童』をやっと読了しました。 いつのまにか刊行されていて、最近まで知りませんでした。一瞬「鵺の碑が出た!!?」と驚いたのですが、同一シリーズの他作品でした。長編もとても待ち遠しいです…

読書会で紹介した本

最近、久しぶりに立て続けで読書会に参加をしてきました。 その読書会で紹介させていただいた本を、折角なので記事でも紹介してみます。 1冊目がこちら。 時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1) 作者: ジョセフィン・テイ,小泉喜美子 出版社/メーカー: 早川…