zarameのブログ

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【おすすめ本2018】27冊目 恩田陸

おすすめ本紹介、27回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
今回は恩田陸氏から2冊選びました。

 ※恩田陸氏の作品のなかでも、異色かつあまり有名どころではない作品をピックアップしてみました

ドミノ (角川文庫)

ドミノ (角川文庫)

 

 登場人物が多すぎる本(でもなぜか頭に入る)。

真夏の東京駅で、28人の登場人物の行動が引き起こすドタバタ劇。一億円の契約書を待つオフィス、オーディション中に下剤を盛られた子役の少女、次期幹事長の座を巡り推理力を競い合う大学生、美男美女の従妹、アメリカから来た映画監督、待ち合わせ場所に行き着けない老人、老人の句会仲間の警察OBたち等(まだまだ他にも出てきます)。目的も事情も異なる様々な人物たちが起こす些細な出来事が連鎖し、予想もしない結末が導かれていく。

 400ページ足らずの作品内で、これだけの人物が連鎖してひとつの物語になっているというのが凄いです。伊坂幸太郎氏の「ラッシュライフ」に近い気がしますが、伊坂氏は登場人物の会話や行動を丁寧に書き、伏線をきっちり回収するのが持ち味なのに対して、「ドミノ」は読者を飽きさせないスピード感のほうを重視している感じがします。登場人物が多ければ大長編になりそうだけれど、短くまとめたことで刻一刻と変化する状況や先の読めない展開が中弛みせず続くので、ページ数も恩田氏の計算なんだなと思います。

 まさに次々と倒れていくドミノのような緊迫感を味わえる作品です。

 

ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

ロミオとロミオは永遠に〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)

 

 ラノベサブカルチャー讃歌SF。

 小説というよりライトノベル風な作品です。
汚染された地球に居残った日本人たちが、膨大な化学物質や産業廃棄物の処理に従事する近未来を描いたSF。閉塞した世界で、最高学府「大東京学園」の卒業総代になることだけがホワイトカラーへの唯一の道だった。苛酷な入学試験レースをくぐりぬけたアキラとシゲルを待ち受けていたのは、さらに過酷で異常な学園生活だった。

 荒廃した地球を舞台にした近未来の地球、閉塞したエリート学校など、マンガやライトノベルの題材として描かれがちなテーマを扱っていますが、この作品の面白いところは他にもあります。過酷すぎる学園生活の反動から、密かに学生たちが熱狂する20世紀のサブカルチャーの数々に興味を惹かれました。昭和のサブカルチャーが好きな人、興味がある人にはわかるネタがたくさんあるので、探しながら読むのも楽しいです。

ラノベ系学園SFではあるけど、個人的に本筋はミステリだと思うので、ミステリ好きの方にもおすすめしたいです。オチがちょっと意外でしたが、タイトルの意味を考えると「なるほど」と思います。永遠に年を取らないロミオとロミオとは。

 

恩田陸氏の作品では、「六番目の小夜子」「月の裏側」「光の帝国」(常野物語シリーズ)が特に好きですが、この辺りは結構読まれてるかなと思ったので違うものを紹介しました。幻想的で繊細な心理描写が特徴的な著者ですが、「ドミノ」と「ロミオとロミオは永遠に」は全く違った作風を楽しめるのでぜひお試しください。

 

 もう1作、最近読んだ「蜜蜂と遠雷」について別記事で触れたので載せておきます。

zaramechan.hatenablog.com