zarameのブログ

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【おすすめ本2018】21冊目 歌野晶午

おすすめ本紹介、21回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。

今回は歌野晶午氏からこちら。

 

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

 

 タイトルと表紙に惹かれて手に取った本。

季節をすこし過ぎた葉桜という語感と、きれいでシンプルら表紙から切ない恋愛もののストーリーを想像して読み、かなりショックを受けました。

歌野晶午という作家を知ったはじめての作品です。

 

 「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵の主人公は、ある悪質な霊感商法の調査を依頼され、調べ始める。その折偶然電車に飛び込もうとした女性、麻宮さくらを助けることで、事態は奇妙に展開していく。叙述トリックによる最後のどんでん返しは、ほとんどの人はひっかかると思いますが、これは賛否両論があるので何とも言えません。ハードボイルドらしいアクションやあけすけで軽快な描写が本作の骨子だと思います。

 

恋愛にある種の憧れを抱きながらも、現実ではうまくいっていない主人公が麻宮に惹かれていくあたりは恋愛ものの要素を感じましたが、最初から直接的な性描写やくだけた文体に驚き、表紙とタイトルのイメージとあまりにも違うので最後まで違和感がありました。著者の他の本をよく読んでいる方や、前情報を知っている方なら入り込みやすいかもしれませんが、初見だと読みにくい作品だと思います。

 

それでも意外な叙述トリックの使い方や、悪徳商法の手口と社会問題に対する切り込みは読ませるところがあり、硬い小説や難しいトリックはとっつきにくいという人には手に取りやすい作品だと思います。なんと言ってもインパクトが強かったのと、タイトルの秀逸さが印象に残っていて、この時期になると真っ先に思い浮かびます。

 

小説は見た目によらない、ということを思った記憶に残る作品です。