【五十音順・おすすめ小説紹介】14冊目 伊集院静
おすすめ本紹介、14回目です。
※小説でないですが、最近読んだので紹介に加えました。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
今回は伊集院静氏から。
週刊文春連載の人生相談コラム、「悩むが花」から厳選したものを収録しています。
10代から80代までの読者から寄せられた多種多様な悩みや質問に対し、親身にあるいは情け容赦なく答えていて、痛快な語り口が小気味いい作品です。
表題にある「女と男」の話だけでなく、日常のくだらない悩みから真剣な相談までいろいろで、共感できるものから意味不明なものまで。品格、と聞くと取り澄ましたお上品な内容かと思いますが全く違います。むしろ歯に衣着せぬ露骨な物言いも多いですが、著者の価値観と人生観に裏打ちされた率直な回答には説得感があり、軽薄さや下品さをあまり感じさせません。
例えば目次だけでも十分に面白いです。
・哀しみにはいつか終りが来る
・涙は、哀しみと苦しみのためだけにあるんじゃない
・つき合うなら、過去もすべて受け入れろ
・疑うことはつまらない結果になる
・家族は社会より大きな存在であっていい
・くどきの基本は相撲と同じ
・立って半畳、寝て一畳で十分
・女を舐めとると、命取られるよ
・夢や希望を足でつかんだ者はいない
・安全パイはいっさい捨てろ
・生き残った人のために死者の存在がある
・「遊びは卒業」なんて言っちゃダメ
一見して「?」となる言葉がいくつかありますが、中身はもっとすごいのでぜひ確かめてみてください。夫婦関係、家族関係、仕事、恋愛など一般的な悩みから奇想天外、あほらしい悩みまで。他人事ながら、よくこんな変な悩みがあったものだなと首を捻るものもあります。
数々の相談を一刀両断する著者の舌鋒が魅力なので、合わないという方もいるかもしれません。でも私は、読者におもねりお茶を濁した回答をするコラムも多く見かけるなか、批判を気にせずズバッと言い切る姿勢が好ましいと思いました。自分の悩みに重ねたり、遠慮ない回答に笑ったりして元気がでる本です。
同系統で、他にも本が出ているので下記に記しておきます。よろしければこちらも。
人生なんてわからぬことだらけで死んでしまう、それでいい。 悩むが花 (文春文庫)
- 作者: 伊集院静
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/04/07
- メディア: 文庫
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