銀河英雄伝説を"いま"再読したい理由
長い戦争の歴史を持つ"専制国家"銀河帝国と"民主主義国"自由惑星同盟という二つの国家が、同時期に現れた二人の戦争の天才によって大きく運命を動かされていく様子を描いています。
1982年に1巻が始まってから1987年に10巻が出て完結した作品で、その後外伝も発表されています。
最近では、10年以上前の作品の再アニメ化の流れがあり、少し古い作品をリメイクして新たな顧客を狙うのが流行りです。
「銀河英雄伝説」も流れに乗り、漫画化に再アニメ化、モチーフカフェの開設など様々な分野で盛り上がるほど人気が再熱しています。しかし「銀英伝」単なる流行りでなく、今の時代・今の社会情勢でこそ読んでほしい要素がたっぷり詰まっているので、その理由を以下で紹介していきます。
銀河英雄伝説を読んでほしい理由3選
①火花散る頭脳戦
②政治腐敗への関心
③心を打つ名言
順番に以下で書いていきます。
①火花散る頭脳戦
「銀河英雄伝説」では、二人の天才の頭脳戦が見所のひとつです。
一人は銀河帝国の下級貴族ラインハルト。貴族とは名ばかりの貧乏暮らしだったが、幼い頃に姉を皇帝の寵姫として奪われ、取り戻すために銀河帝国を打ち倒すことを決意して軍に入る。類まれな美貌と頭脳を持ち、戦場で「常勝の天才」と呼ばれ瞬く間に出世する。
もう一人は銀河帝国と敵対する自由惑星同盟の軍人ヤン・ウェンリー。奨学金のために士官学校に入るが、本来は歴史学者を目指していた温厚な青年。軍人の仕事を嫌いながらも、窮地に立たされる祖国の要請により戦場で才覚を花開かせる。窮地に立った味方を魔術のような作戦で救い出すことで「不敗の魔術師」と呼ばれ、ラインハルトにライバル視されている。
(画像:アニメ銀河英雄伝説Die Neue These 公式HP gineiden-anime.com/ より引用)
この二人を軸にして、壮大な宇宙艦隊戦と緻密な頭脳戦が繰り広げられる戦闘シーンが圧巻です。歴史小説や大河ドラマなど好きにおすすめですが、ミステリ好きなどはヤンの考える秘策を予想するなどの楽しみ方もあるかもしれません。
②政治腐敗への関心
作中の舞台となる二つの国、「銀河帝国」と「自由惑星同盟」はどちらも建国から長い年月が経ち、権力の腐敗があからさまになっています。国のトップに君臨する為政者たちの腐敗が進み、国民にしわ寄せがいく社会の様子は、今日の社会情勢を見ているかのように思えます。
民衆を圧迫し、自分達だけ遊興にふける貴族と皇帝。
選挙の票を稼ぐため戦争を煽り、兵士を前線へ送る議員たち。
自分の利益のために民衆を圧迫する権力者たちの腐敗の描写を読んでいると、物語とはいえ現代社会にも少なからずある腐敗を連想してぞっとします。
特に民主主義国として描かれる自由惑星同盟の腐敗は他人事とは思えず、薄ら寒い思いをしながら読みました。
後半に描かれる「理想的な為政者の収める君主制」と「腐敗した為政者による民主制」の間で揺れる人々の葛藤は、民主主義や平和、個人と社会の在り方について真正面から向き合うことの大切さと難しさを教えてくれます。一つの答えを提示した、終盤のラインハルトとヤンの問答は一見の価値ある名シーンです。
わたしたちが普段当たり前のように思っている「民主主義」とは何なのか。どこに価値があるのか。そんなことを考えさせられました。
③心を打つ名言
銀英伝で最も特徴的なのが、「登場人物たちの名言」の多さです。主人公から脇役まで、思わず口に出したくなるような名言が多くあり、お気に入りの言葉を探すのも楽しみの一つです。旧アニメ版の名言集がYou Tubeにあったので、参考として載せておきます。
(銀英伝の旧アニメは、全110話というアニメにしてはものすごく長い超大作として作成されました。その為、長い問答や演説のシーンも丁寧に組み込まれており、音声で聴く名言に心打たれた人も多かったのではないでしょうか。)
主役級から脇役、一兵士一市民から権力者まで、それぞれの信念を言い表す名言の数々のなかには、きっとお気に入りの言葉を見つけることができるでしょう。
(「銀英伝 名言」で検索すると、凄い数の検索結果が出てきます。)
魅力的なキャラクターが多いのは、この名言の多さに由来するのかもしれないです。
格好いい台詞だけではなくて、毒舌や皮肉のたっぷり効いた台詞も多いのがまたいい。特に同盟側の舌鋒はかなり痛快で、実際に使ってみたいけど過激すぎて無理(苦笑)となるのが残念です。
以上、銀河英雄伝説を“いま”読んでほしい理由3選でした。
原作小説にマンガ、アニメと目白押しであり、不穏で不安定な社会情勢のいまこそ是非おすすめします。
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