本の虫生活

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【五十音順・おすすめ小説紹介】36冊目 黒川伊保子

おすすめ本紹介、36回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
今回は脳科学者、黒川伊保子氏から。

成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

 

 脳科学っておもしろい。

 

本書はこれに尽きます。この著者はほかに『恋愛脳』や『夫婦脳』などで、どうにもすれ違う、イライラしてしまう男女の関係を脳科学で解明する主旨の本を出していますが、男女や恋愛などに囚われず、人間全体の脳の発達について述べられた本書が一番面白く感じました。

一問一答形式のエッセイなので、特にあらすじはありません。個人的に面白かったのが

・どうしたらモテる?

・祈りの科学、ふたたび

・三つ子の魂、も真実である

・誰もが人生の達人になる

・ことばの触感

などのお話でした。

 

著者の独特の語り口がちょっと苦手なのですが、内容が面白かったので男女ともにおすすめしたいです。パラっとよんで「うーん。あんまり得意じゃないな」と棚に戻してしまうのは勿体ない。なぜイライラするのか。なぜ他人とすれ違うのか。なぜ思ったように行動できないのか。イライラした気持ちを消す方法とか、ポジティブに考えるためのハウツー本はたくさんありますが、「なぜ」と理由を説明してくれる本は意外とありません。精神論や対症療法ではなく、脳科学の観点で原因そのものをずばり説明してくれるのが本書のいいところです。

 

 第二章『一生の脳科学』では、未だ多くの謎に包まれている脳の進化についてわかりやすく述べられていて、特に興味深かったです。

生まれたときから幼児期、思春期、二十代、…果ては九十代(さらにその先まで!)の脳の状態は、すべて異なるという主張。

歳を重ねるにつれて万華鏡のように変化していく脳の世界。未来の自分の脳は、自分にどんな世界を見せてくれるのでしょうか。この本を読んだ後、歳をとるのがちょっと楽しみになりました。