【祝・新刊発売】幻と消えた和平工作
2021年1月20日。
ここ数年でのわたしの再推し作家、上田早夕里さんの新刊が発売されます。
楽しみすぎてまだ読んでないのに紹介記事を書きました。
1.上田早夕里さんはどんな作家?
2.新刊『ヘーゼルの密書』
3.最初に読むなら?おすすめの長編と短編
まず、まだ読んでいない本の感想は書けないので、推し作家の紹介から入ります。
1.上田早夕里さんはどんな作家?
『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、その後下のような代表作を発表している。
・深紅の碑文(上・下巻)早川書房
・夢見る葦笛 光文社
・薫香のカナピウム 文春文庫
ほか
SFデビューだし、代表作の一つ『華竜の宮』もハードSFなのでSF作家かな、と最初は思ったがその後の発表作品を読んで驚いた。
詳しくは下記の著作一覧ページがわかりやすいが、兎に角多彩。
ざっと読んだだけでも、<SF><ファンタジー><幻想系><歴史>を全部著作で網羅している。そして個人的に結構びっくりしたのが、<日常系>、特に料理にまつわる小説。美味しそうな料理、シェフが活躍する小説は好きなので結構読んでいるが、SFとか骨太の歴史系のイメージがあったのでガラッと違う印象に驚いたのが『ラ・パティスリー』。洋菓子店で繰り広げられる人間模様を描いた小説。華竜の宮とか破滅の王を読んだ後に読むと、本当に同じ作者が書いたのかと疑うくらいテイストが違う。
ひとつのイメージに縛られないので、作品によって違う作者の小説を読んでいるような感覚がある。興味があったら是非一回一覧の紹介を見てほしい。SFはちょっと…とか、ファンタジーは苦手、とかあっても、自分に合うジャンルの小説が見つけられる可能性が大きいので。
※著作一覧(公式サイトより)
2.新刊『ヘーゼルの密書』
まだ読んでいないのでわたしもどんな小説かわからない。けど、あらすじを読むとどうやら1930年代の上海で実際に行われるはずだった、幻と言われる日中和平工作に関わった人々を描いた歴史小説らしい。
既刊『破滅の王』とテイストが似てる(※しかし『破滅の王』は歴史SFというのか、架空の物語)けど、新刊は歴史小説らしい。第一次世界大戦の時代を舞台にした歴史ファンタジー『リラと戦禍の風』も、ファンタジーとはいえかなり歴史小説に近いくらい重厚な背景の描かれ方だったので、初の歴史小説は期待しかない。しかも、『破滅の王』と今作と次作を合わせて【戦時上海・三部作】になるらしい。すごく楽しみ。髙村薫の『李歐』とか柳広司のジョーカー・ゲームシリーズ『魔都』とか好きな人は絶対刺さるなあ、これ…。
3.最初に読むなら?おすすめの長編と短編
【長編のおすすめ】
SFが苦手じゃないなら、やっぱりこれをおすすめしたい。
①華竜の宮
気候変動により陸地が急激に水没し、少ない陸地を奪い合う「陸上民」と海上の生活に適応した「海上民」が互いの利害を超えて新たな地球規模の危機に立ち向かう長編。続編『深紅の碑文』ともにかなりハードな内容なので、コロナ禍の今読むのはアリだと思う。平和な時代より、困難なときだから共感できる、考えさせられるところも多い。わたしは年末に再読して泣いた。
いきなりハードな長編は大変かな…という人は、
<日常系>⇒『ラ・パティスリー』
<ファンタジー>⇒『リラと戦禍の風』
とか。リラと戦禍の風は重めの内容だけど、がっつりファンタジー(※魔法とか出て来るような)なのでそこまで読むのが大変ではない印象。ラ・パティスリーなど料理系も最初はとっつきやすい。
【短編のおすすめ】
絶対これ。上田さんが‟多彩な作家”というのがわかるはず。
これを読んでどの小説が好きか、とわかると次に読みたい長編が定まってくる。
また、去年中国で銀河賞(2019年度に中国国内で発刊されたSF作品に授与される賞)の「最受欢迎的外国科幻作家」(最も人気のある外国人SF作家)部門を、日本人作家としては初めて受賞した作品でもある。
個人的には世界観をがっつりと表現した長編が好きだけど、まず短編を読んで感じを掴むのはおすすめ。もう文庫化したので手に取りやすい。
なんかあまり新刊の紹介をしていない気がする…けど、読んでないので取り敢えずこの辺にしておきます。
新刊発売、おめでとうございます🌸🌸🌸