本の虫生活

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【知の扉】ハヤカワNF文庫を推したい

今年はノンフィクションをよく読みました。

 

小説も好きですが、未知の領域への興味を掻き立てるノンフィクションもワクワクします。学生の頃、教科書はつまらなかったけれど資料集の小ネタは結構好きで、学術系のノンフィクションを読むと当時を少し思い出します(※本記事では新書や事件系のノンフィクションではなく、学術系のノンフィクションについて語ります)。

色々ありますが、わたしが特に好きなのは『ハヤカワNFシリーズ』です。

 

ハヤカワ文庫というとミステリやSF(特に海外小説)のイメージが強く、そちらも古典から新しい作品まで名作揃いです。しかし、ノンフィクションシリーズはあまり知られていないような気がします。ハヤカワの棚で、背表紙の上部がオレンジがかったもの(一部装丁が違うものもあります)で、本屋で「見たことある」人は多いかと思います。

ですがなんといっても、学術系といえば大御所の岩波書房に流れてしまう人が多いですし、読みやすさでいうとちくま文庫などが売れているような気がします。

 

遠野物語・山の人生 (岩波文庫)

遠野物語・山の人生 (岩波文庫)

 
クマにあったらどうするか: アイヌ民族最後の狩人 姉崎等 (ちくま文庫)
 

 (※画像は参考です)

 

岩波は圧倒的古典蔵書量、ちくまは絶妙な親しみやすさが魅力だと考えると、ハヤカワNFシリーズの魅力は何といっても以下の点に尽きると思います。

・多彩さ

・堅さ

・奇想天外さ

この3つを両立させる印象的な本が多く、「外れにくい」ところが気に入っています。

 

おすすめをいくつか挙げてみると、ジャンルの広さがわかります。

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

 

 

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

 

 

人の心は読めるか?──本音と誤解の心理学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

人の心は読めるか?──本音と誤解の心理学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

あなたの知らない脳──意識は傍観者である (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

あなたの知らない脳──意識は傍観者である (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

 まだまだたくさんあるので、興味のある方は以下をどうぞ。

ハヤカワオンラインHP

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopbrand/genre_001010/

 

物理や数学、宇宙論、自然科学系など理系分野の本も多いですが、社会学、経済学、心理学など幅広い分野を網羅しているのが魅力です。

今日から実行できそうな実践的な本も多く、新書系が好きな人も楽しめるラインナップだと思います。

それといつも感心するのが、タイトルの洒脱さです。

「○○をやりなさい」とか「成功を呼ぶ○○の法則」「○○してはいけない」みたいな主張の強すぎるタイトルがわたしは苦手で、そのため新書はほとんど読んできませんでした。でもハヤカワノンフィクションは「何だろう?」と思わせる魅力的なタイトルが多く、棚から手に取りたくなるような遊び心のあるものが多いです。

 

しかも、中身は結構硬派なものが多いので、安心して読めるのもいいです。

新進の科学者やホーキング博士のような大御所など、基本的にその分野の学者の方や専門のライターの方が書いており、巻末の参考文献も凄まじい量です。科学系の本だと怪しげなものも偶に出回っているので、その点ハヤカワノンフィクションシリーズは信頼感が高くて好きです。

 

最後の奇想天外さについては、おすすめを挙げてみればわかります。

 

変な学術研究〈1〉光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷凍庫 (ハヤカワ文庫NF)

変な学術研究〈1〉光るウサギ、火星人のおなら、叫ぶ冷凍庫 (ハヤカワ文庫NF)

 

 

ブラックホールで死んでみる――タイソン博士の説き語り宇宙論(上) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ブラックホールで死んでみる――タイソン博士の説き語り宇宙論(上) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 『0と1から意識は生まれるか』はわたしのおすすめ本ベスト10に入る好きな本です。東進ハイスクールの塾講師(物理)の方が書いているのですが、正直塾講師より作家のが向いていると思うくらい面白かったです。厳密な科学ではない思考実験ならではの自論がさく裂していて、「空想科学読本大人版」みたいな感じでした。特に「葉緑体人間は可能か」という章は読みやすいので色んな人に読んでみてほしいです。しかし、残念ながら絶版ですので、もし古本等で見かけたら手に取ってみてください。

 

『変な学術研究』はもっと肩の力を抜いて楽しめる1冊です。最近有名になってきたイグ・ノーベル賞のような研究が満載で、思わずツッコミたくなります。1か2か、どっちかは忘れてしまったのですが、「恋愛とは強迫性障害である」という仮説を立証する研究の話が個人的には面白かったです。

 

ブラックホールで死んでみる』はショッキングなタイトルを見て購入した本です。ブラックホールの話かと思って読んでみると、宇宙についてのさまざまなトリビアを語るエッセイ集で、堅苦しくなく読めました。タイトルについての考察は下巻のほうで、上巻よりダイナミックになる話に夢が膨らみました。タイトルがセンセーショナルですが、意外と宇宙論天文学への入門書としても楽しめる気がしました。

 

 

今年ももう数日で終わってしまいます。

やり残したこと、読めなかった本などたくさんありますが、来年も色んな本に触れられるといいなと思います。

 

未知の分野への扉を開くノンフィクション、帰省のお伴にでもいかがでしょうか。