結婚、ってなんだろう
周りの結婚ラッシュがはじまった。
職場の同期や先輩、大学時代のサークル仲間、そして小学校来の友人まで、ここ1、2年で次々と結婚していく様を見ると、ほんとうにラッシュってあるんだと普通に驚きました。
今日紹介するのはこの本です。
結婚をしてもしなくても、‟わたし”の尊厳は変わらない。
そんなメッセージを感じました。
本書は、女性学、ジェンダー研究者として有名な上野千鶴子氏と臨床心理士として数多くの女性のカウンセリングを行ってきた信田さよこ氏の対談集です。恋愛、性、結婚、…。女性の側から見た結婚にまつわるあらゆる諸問題を徹底的に語りつくす、ちょっと過激で鋭く、考えさせられる1冊でした。
もともと本書は2002年の対談が元となっていて、20年近く前に話された内容だというのに、いま読んでもそんなに古くないところが恐ろしいともいえます。書かれている内容など、もう解決済みであるとか、こんなの昔の話だよねと笑えたらよかったのに、ちょっと悲しいくらい問題が問題として残ってしまっている。結婚にまつわる解消されない不平等や、仕事との両立などずっと前からある問題が解消されないのはなぜか。社会の構造や人々の意識、文化に切り込み解き明かしていく本書は、読んでいてすこし痛かったけど、読み終えたあと心が軽くなった気がしました。
現代の女性はみな感じていることかもしれないけれど、わたしは、結婚というのはしてもしなくても、考えるだけで少し重苦しい気持ちになります。
結婚しないというと、家族や社会に責められているような気がする。
周りが次々と結婚すると、していない自分は間違っている、劣っているように思える。
子どもを持たないというと、義務を果たしていない罪悪感を覚える。
一生独身だと、この後ろめたさを一生感じ続けるのかと気分が暗くなる。
結婚するというと、今までの自分の人生を捨てるような気持ちになる。
やりたい仕事や趣味を削って、子育てと時短の仕事を両立しないといけない。
自分の名字を捨てるのは当然である(夫に名字を変えてくれとはいえない)。
育休を取るのも、時短勤務や仕事の変更(残業できないため)をするのも女のわたしがやるべき。
こんなことばかり考えてしまい、今後結婚するにしろしないにしろ、苦しみを背負っていかなければならないのかと暗澹たる気持ちになります。
だから、普段は努めて考えないようにして、仕事と趣味に打ち込んで、できるだけ避けて過ごしています。
この本はそういう、わたしが避けて通った道について議論を重ね、どうして辛いのか、どうしたらいいのかを真剣に話し合っています。
避けているから辛いのかもしれない。読んでみると、漠然と厭だと思っていたものの正体が見えてきました。自業自得としかいえない辛さもあると突きつけられ、「自分のことだ」と刺さりながら読み進めましたが、最後まで読むと不思議と気分が浮上しました。
ちょっと内容が容赦ないので、読んだときはダメージを喰らうかもしれませんが、冷静読んでみると収穫の多い本です。
結婚してもしなくても、わたしはわたし。
自分の尊厳を持つことが、結婚するかどうかよりもずっと、大事なのだと思わせてくれました。