本の虫生活

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横溝正史を読む

ほぼ10年ぶりに横溝正史を読んだら、まんまとハマりました。

 

昭和の生糸王、 犬神佐兵衛の遺言状に端を発する凄惨な連続殺人事件に名探偵金田一耕助が挑む、日本のミステリ史に名を馳せる作品です。

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

 

 

戦後間もない昭和中期。生糸産業を興して一代で成り上がった犬神佐兵衛のセンセーショナルな遺言から、物語ははじまります。腹違いの3人の娘とその息子たち、佐兵衛翁の恩人の美貌の孫娘、謎に包まれた悲劇の隠し子、…。昔の事件を彷彿とさせるような気味の悪い殺人事件は、佐兵衛の過去の秘密が暴かれることで更に加速していきます。現在の事件と過去、そして登場人物たちの抱える秘密と嘘。すべてが重なり合い、謎は深まり続けるが、…。

横溝正史の生み出した名探偵、金田一耕助シリーズのなかでも有名な本作。ちょっと古めかしく、今読むと時代がかっていますが、ミステリとしては硬派なくらい骨太に感じました。派手な演出もワクワクさせられますが、何より伏線の妙に驚かされます。

正直なところ、あまりにも有名な作品であるし、至るところでオマージュされているだろうから、ミステリとしては楽しめないんじゃないかと思っていました(先にネタバレを踏んでいるようなものかな、と)。しかし、全然杞憂でした。

 

ふつうに、ミステリで騙されたのは結構久しぶりでした。

 

わたしはミステリが結構好きで、小説のジャンルの中では一番多く読んだような気がします。数えてないので不正確ですが。

そのせいか、伏線や犯人、共犯者、偶にトリックまで読みながら見破ってしまいます。これは別に頭が切れるとかではなく、ミステリの読み過ぎによってパターンに気づいてしまうというだけです。読みながら内容やテーマ、文体や雰囲気は楽しめても、ミステリとして推理を純粋に楽しめないことがままあります。

本作を読んで久しぶりにドキドキワクワクするミステリの醍醐味を味わえたので、名作恐るべし!です。流石有名になるだけある、と思います。

 

古典や名作は、名前だけ知っていて読んでない。ということが割と多いですし、今回のような発見を期待して、今後色々読んでみようかなと思います。

今はあまり浮上していませんが、ツイッターで紹介されている本が気になるので、今度ツイッターでおすすめを募集してみるかもしれません。

 

脱線しましたが、横溝正史を読んでみた感覚として、少し前に流行ったドラマのトリックや、金田一少年名探偵コナンなどが好きな人は波長が合うと思います。ちなみに、わたしは全部好きです。