本の虫生活

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【鵺の碑はいつ…?】鬼・河童読了

 百鬼夜行シリーズの最新作の連続刊行第一弾と第二弾、『鬼』『河童』をやっと読了しました。

いつのまにか刊行されていて、最近まで知りませんでした。一瞬「鵺の碑が出た!!?」と驚いたのですが、同一シリーズの他作品でした。長編もとても待ち遠しいですが、それでも久しぶりのシリーズ新刊は嬉しかったです。

 

①今昔百鬼拾遺 鬼

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

今昔百鬼拾遺 鬼 (講談社タイガ)

 

 <あらすじ>

昭和の辻斬り事件の7人目の犠牲者、片倉ハル子の友人であった呉美由紀は、ハル子の死を不審に思い知り合いの中禅寺敦子に相談を持ち掛けた。ハル子は事件前から自らの死を予見するような発言を繰り返していただけでなく、ハル子の周囲では『鬼の因縁』『鬼の刀』という怪しげな噂が囁かれていた。美由紀から相談を受けた敦子は、事件の真相究明に乗り出すが…。

 

「先祖代々、片倉家の女は斬り殺される」

血腥い噂のたちこめる片倉家と被害者のハル子、辻斬り事件。百鬼夜行シリーズらしい古の因縁と現代の事件がリンクする物語ですが、今回は探偵役がいつもと違うのが新鮮でした。論理的に、証拠と推論で事件の真相に迫るがいまいち自信の持てない敦子と、行動力に富むが考えをまとめて推理することは不得手な美由紀。安定感ある中禅寺秋彦榎木津礼二郎コンビとは違って、初々しさと不安定さの光る女性探偵コンビの活躍が楽しめる1冊でした。この作品の少し前に刊行された、土方歳三を主人公とした『ヒトごろし』の内容を一部含んでいるので、そちらと併せて読むとより面白いかもしれません(これ以上はネタバレになるので書きません)。

 

 

 ②今昔百鬼拾遺 河童

今昔百鬼拾遺 河童 (角川文庫)

今昔百鬼拾遺 河童 (角川文庫)

 

 <あらすじ>

呉美由紀と中禅寺敦子の探偵劇第二弾。

様子のおかしい水死体が次々と発見される連続殺人事件に、美由紀と敦子、さらには依頼を受けた益田となぜか多々良先生までが首を突っ込み、調査をかき回しながら真相に近づくドタバタ感の強い探偵劇です。千葉で次々と見つかる水死体は、奇妙にも尻を出しているという共通項があった。女学校で流れる河童の噂、美由紀の故郷の廃村、浅草で噂される宝石泥棒、そして不審な水死体。敦子たちは被害者の共通点、宝石泥棒の真実を追っていくが…。

 

河童のしわざという噂が流れ、河童に過敏に反応した多々良先生が事件を引っ掻き回し、益田の要領の得ない話ぶりに攪乱されて、前作『鬼』よりもコメディ色が強いドタバタ劇です。河童の正体には、あっと驚かされました。

 

 

以上、シリーズ新刊の感想でした。今月にもう1冊刊行と聞いていますが、今月はちょっと仕事がピークで読めそうにないので、ゆっくりお楽しみにしておきます。

ところで、本編『鵺の碑』はいつ出るのでしょうか…?