本の虫生活

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【五十音順・おすすめ小説紹介】47冊目 ジェーン・スー

おすすめ本紹介、45回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
今回はジェーン・スー氏。

 タイトルにギクッとして恐る恐る読んだ本です。

辛辣なタイトルの通り、耳に痛く、でもちょこっと前向きになれるような活力を感じるエッセイでした。

 

「女子会」や「○○女子」などという言葉は今やすっかり市民権を得ましたが、そういう風潮を一喝するような内容なのだろうかと思い読み始めました。何歳になっても「女子」を自称することへの苦言か、地に足のつかない女性への批判なのかと思って読んでみると決してそんな内容じゃなく、少し驚きました。

 年齢、恋愛や容姿へのコンプレックスだったり、周囲の目を気にしすぎて袋小路へ迷い込んでしまう日常だったり、著者自身の赤裸々な告白を土台にして女性の直面するあらゆる悩みについて考えていく、まじめな内容でした。悩み続ける日常に焦点を当てたエッセイで、ときにズバッとものを言うのに嫌みな感じはしませんでした。タイトル程一刀両断する内容じゃなかったことにほっとする反面、もっと爽快に言い切ってほしいような気もしました。

取り上げられるのは真剣な悩みではあるけれど、クスっと笑えるユーモアと闊達とした文体が爽快で、読みやすかったです。良いとか悪いとか、正しいとか間違っているとか、スパッと決められない問題を抱えることが増えていくのが大人です。そういう問題に一方的に答えを押し付ける訳ではないところがよかったです。お悩み相談系のエッセイは割と読むのですが、著者によってかなり問題への向き合い方が違うのが面白いです。答えがほしいのではなくて、なんとなく「腑に落ちない」気持ちを抱え続ける人にはこの人の本がおすすめです。

 

悩みや、なんとなく割り切れない気持ちを抱える女性にぴったりの一冊ですが、男性も「こんな悩みがあるのか」と知ることができて面白いと思います。

タイトルにひるまず、色々な人に読んでみてほしいエッセイです。