【五十音順・おすすめ小説紹介】44冊目 清水義範
おすすめ本紹介、44回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
※参考書のようなタイトルですが、小説です。
今回は清水義範氏。
清水氏は多作で、おすすめは沢山あるのでかなり悩みました。
ただこの本は昨年偶然本屋の在庫にあるのを見つけ、数年ぶりに手元に入ったのがとても嬉しかったので選びました。
短編集ですが、何といっても表題の『国語入試問題必勝法』が最高です。
丁度一週間ほど前にはセンター試験があり、大学受験に向けてたくさんの学生が阿鼻叫喚、または余裕のスタートを切ったかと思います。私もかつてセンター試験に決死の覚悟で臨みましたが、この本を読んだお蔭で国語は余裕綽綽でした(※個人の感想です)。…というのは冗談として、受験生のピリピリした感情を本書が和らげてくれたのを思い出しました。
この短編は、受験生浅香一郎が家庭教師月坂の手ほどきを受け、国語問題解法の極意を会得していくという話です。2人の掛け合いに笑えますが、それだけでなく筆者の入試問題への痛烈な皮肉が散りばめられているところが流石です。
多くの受験生を苦しめたであろう、入試国語科目の『現代文』。本書を読んでから特となぜか親しみさえ覚えるから不思議です。受験生の方も、かつて受験生だった皆さんも、ぜひ一度読んで笑ってほしいです。
また、他の短編もそれぞれ面白いですが、次に読むのは『人間の風景』がおすすめです。
売れない作家佐伯義成が、知り合いの書いた小説を読んでほしいと持ちかけられます。その小説は老人会の4人が書いたリレー小説で、小説など書いたことのない4人が悪戦苦闘、自由奔放に書いた怪作に笑いが止まらなくなりました。
あとがきまで著者らしさ全開の短編集で、気軽に読める話ばかりなので、電車で何を読むか迷っている人はぜひこちらをおすすめします。
ただし、受験生の方はくれぐれも内容を鵜呑みにしないようお気をつけてください。責任が取れないので…。