zarameのブログ

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【おすすめ本2018】26冊目 小野不由美

おすすめ本紹介、26回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
今回は小野不由美氏からこちら。

月の影 影の海〈上〉―十二国記 (新潮文庫)

月の影 影の海〈上〉―十二国記 (新潮文庫)

 

 読めば読むほど味が出る本です。

 

「月の海 影の海」は十二国記シリーズの第一巻で、現在9巻が出版されています。 古代中国を彷彿とさせる異世界ファンタジー小説の金字塔です。

“「お捜し申し上げました」―女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨う陽子は、出会う者に裏切られ、異形の獣には襲われる。なぜ異邦へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の物語がはじまる。”

            (「BOOK」データベースより一部引用)

 

ある日、女子高生陽子のもとに異世界からの使者が現れ、平和だった陽子の日常は急転してしまいます。運命に翻弄され、苦しみながら成長していく陽子に当時はとても憧れました。

しかし1巻を読みはじめたときは、そんな骨太の物語とは思わず、ライトノベル風のよくある異世界ものだと思ってました。なので読み終わってみると全然違う…と驚いたのを覚えています。

若い人向けの冒険小説というイメージで読むといい意味で裏切られます。

むしろ、歴史ものや重厚な人間ドラマ好きに響くのじゃないでしょうか。

 

 

緻密に練られた世界観

 十二国記シリーズは、わたし達が住む現実の世界とは別に存在する「十二国」という異世界が舞台です。「十二国」では霊獣である麒麟が王を見出し玉座に据える役割をもちます。麒麟と誓約を交わした王が国を治め、麒麟が補佐を務めるという絶対王政を敷いています。

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(新潮社公式サイト 「十二国記の世界」より引用)

古代中国の神仙思想をベースに不老不死や霊獣が描かれており、ファンタジーですが古代中国の神話の王が統べる時代はこんな風景だったんだろうかと想像できます。中国の戦国時代~秦・漢時代に書かれたとされる書物・山海経を資料としているという話があったので、妙に納得しました。本編を読みながら元ネタを探してみるのも楽しいです。

しかし、もっと凝っているのが国や政治のシステム、気候や生活などの「現実的な」世界観です。巻が進むごとに国ごとの状況が明らかになってきて、国同士の駆け引きや国内の混乱、政変の勃発などが起き、神の万能の世界ではない「等身大の国家」が描かれます。神話の時代が終わり、そこに生きるすべての人達がつくる世界がはじまるという黎明の時期の大河ドラマを観ているような感覚が味わえました。

中華風ファンタジーというと『彩雲国物語』も好きなのですが(これもいつかじっくり語りたいです)、こちらは少女マンガ風でライトノベルの雰囲気も強いので、十二国記シリーズのほうが万人向けかと思います。

 

王と麒麟(補佐)、管理、市井の人に至るまでさまざまな立場の目線から物語が描かれるのもポイントです。若いときは王と麒麟に感情移入しましたが、大人になってから読むと民衆や官吏の気持ちに共感するようになり、読むたびに違った視点で楽しめます。書き留めたくなる名言もたくさんあるので、手元に置いておきたい作品の一つです。