zarameのブログ

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

【おすすめ本2018】23冊目 円城塔

おすすめ本紹介、23回目です。
この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。
今回は円城塔氏からこちら。

 

 「わからない(理解できない)ことを楽しむ」

これこそ、円城塔氏の作品の魅力だと思います。普段とは違う読書がしたい、新しいインスピレーションが欲しいという方におすすめです。

 

SF作品は、特に現実世界とはかけ離れた題材を扱うものが多いため、小説としては難しかったりわかりにくかったりするものも他の分野より多いです。それでも大抵は読んでいるうちに慣れてくるし、SFといってもタイム・トラベルものや終末ものなど似通ったテーマもあるので、読み進めればわかってくるものも多いと思います。

しかし、円城塔氏の作品はそういう安易な理解を拒絶しているような「理解しにくい」作風が持ち味です。

 

本作は以下の9つの短編で構成されています。

・パラダイス行
・バナナ剥きには最適の日々
・祖母の記録
・AUTOMATICA
・equal
・捧ぐ緑
・Jail Over
・墓石に、と彼女は言う
・エデン逆行

 

感情移入やストーリーの展開を楽しむ というより、新しい世界に触れられるような奇抜で不思議な後味の作品が多いです。

著者の作品にしては、読みやすいものが多いと感じましたが。

 

表題の「バナナ剥きには最適の日々」なんかは特に読みやすいのではないでしょうか(宇宙人を探し続ける無人探査機が、いつか出会うかもしれないバナナ型宇宙人を夢想する独白調の話。一向に見つからない宇宙人を探し続ける探査機が、架空のバナナ星人を妄想し、永遠の暇をつぶしつづけるという特にヤマもオチもない短編です。なのに何故か、読み終わるとバナナ星人が自分の頭に住み着いてしまう、中毒性のある話でした)。

 

個人的には、読後感が星新一氏に似ているような気がします。心にひっかかりを残す本です。