本の虫生活

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

チョコレートの代わりに物語を

本日はバレンタインデー。

この前twitterで#義理チョコのかわりにほしい本 というタグを発見したのでここでも紹介したいと思います。

甘いチョコレートをつまみながら、ゆったりと読みたい物語を5つ。

 

1冊目

 「失恋ショコラティエ水城せとな

 1冊目はマンガから。

この作品は、ドラマ化もされており、知っている方も多いかもしれません。

ケーキ屋の息子の主人公は、想いを寄せる女性と交際してから初めてのバレンタインに、彼女に喜んでもらうために美しいチョコレートを手作りで贈ります。しかし、当日に彼女から別れを告げられ、失意のまま彼女に届かなかったチョコレートを極めることを目指し、一流のショコラティエとして開花していく。

甘さよりも苦さの際立つお話ですが、出てくるチョコレートの数々がとても美味しそうで、読んだらとても食べたくなるはず。

 

2冊目

「毒入りチョコレート事件」アントニイ・バークリー

 

毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)

毒入りチョコレート事件【新版】 (創元推理文庫)

 

 推理小説の古典。シャーロックホームズや名探偵ポアロのように、安楽椅子探偵の多い推理小説界で、複数の探偵による「多重解決」という新しい概念を打ち出した作品として有名です。

 「犯罪研究会」に所属する会員たちは、ある迷宮入り寸前の難事件に挑むことになる。被害者は毒がしこまれたチョコレートを試食した夫妻で、女性は亡くなってしまう。しかし、チョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものであった。一人ひとりの探偵がそれぞれの解釈を示し、シンプルな事件でも多様な解釈を示すことができるという、当時の推理小説としては型破りな作品。古典ミステリ好きなら、一度は読んでおきたいです。

 

3冊目

アイスクリン強し」畠中恵

アイスクリン強し (講談社文庫)

アイスクリン強し (講談社文庫)

 

 明治の世に入り、西洋の人々や文化が急速に流入するなか、日本で念願の洋菓子屋をひらいた主人公がさまざまな騒動に巻き込まれていくというお話。

見慣れない西洋のお菓子にきらきらと感心をよせる登場人物たちの様子や、おいしそうな描写に惹かれます。いまでは当たり前にあるビスキット、アイスクリン、チヨコレイトなどのお菓子も、初めて見た人たちにとっては衝撃だったのだろうと思います。新しいものに触れるよろこびを思い出させてくれる作品です。

 

4冊目

 「アーモンド入りチョコレートのワルツ」森絵都

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)

 

 こちらの記事でも前に紹介した作品です。

 

zaramechan.hatenablog.com

 13歳から15歳の少年少女が、シューマン、バッハ、サティの曲のある日常のなかで、悩み、考え行動する描写が鮮明に描かれています。過ぎてしまった子供時代、今はほとんど振り返ることのなかった当時の想いを呼び覚まさせてくれるかもしれません。表題はサティのピアノ曲で、チョコレートには関係がないのですが。

 

5冊目

 「春季限定いちごタルト事件」米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

 

いまのミステリ界で最も有名な作家の一人ではないでしょうか。

様々な傑作がありますが、甘いお菓子にちなんだ作品として、今回はこちらを紹介します。

中学からの同級生の小佐内さんと小鳩くんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係を自称する高校一年生。ふたりは慎ましく日々を送る「小市民」を目指すが、なぜか二人のもとには次々と妙な事件が降りかかる。

「普通」を目指して奮闘する二人と周囲の掛け合いや、小佐内さんのスイーツへの執着がなんともリアルで面白く、あっという間に読み終わってしまいました。果たしてふたりは栄光の小市民になることができるのか。

 

 

バレンタインにおすすめの物語。お菓子をつまみながらどうでしょうか。