破滅の王読了
以前から気になっていた上田早夕里さんの新刊
「破滅の王」
やっと読み終わりました。
舞台は満州事変後の中国、各国の研究者が集まる上海で未知の細菌"キング"をめぐり科学者の奮闘と各国の陰謀が入り乱れていく様子を鮮やかに描き出しています。
上田早夕里さんといえば、「華竜の宮」「深紅の碑文」など、近未来のSFのイメージがあったので、硬派の歴史もの、しかも満州事変後の中国など書き手の少ない分野の新刊はすごく驚きでした。
読後感でいうと、今回の作品は高村薫さんと柳広司さん、あたりに近いような。
既刊の他の作品もすごく引き込まれてよかったですが、「破滅の王」は今、この時代に読んでほしいと思える作品です。戦争に翻弄されるなかで、個人の生き方、振る舞いは果たして、暴走する世界を変えられるのか。。。。
戦争を科学者の立場から描き出し、大きな流れのなかで個人としてなにができるか、考えさせる物語です。
年末年始の移動や休憩のお供に、ぜひ一読を