本の虫生活

おすすめ本の紹介などしています。著者をア行からワ行まで順番に。

疲れすぎてなにもできない一日へ

疲れた。 泥のように重たく、引きずりながら動かす鉛の腕に、訳も分からず憂鬱で苛立ちの募る一日。せっかくの休日を、そんな風に過ごしてしまう。 今日はせっかく晴れで、明日から崩れるという天気予報を見て一層気は重く、頭はぼんやりと働かず楽しみにし…

【五十音順・おすすめ小説紹介】60冊目 フィリップ・K・ディック

おすすめ本紹介、60回目です。 こちらの連載記事はなかなか筆が進まず、久しぶりの更新がとうとう2020年になりました。今年はどんな本に出会えるかワクワクします。 読んで頂いている方はご存知と思いますが、この連載記事では著者の五十音順に、わたし…

2019年ベスト本10選

もう年越しまであとすこし。 今年読んだ本の振り返りを兼ねて、読んだ本の中でベスト10を選びました。 今年は新しい本からあまり読んだことのなかった海外小説、話題の本もランクインしました。 素敵な本が多くて選ぶのが難しかったけれど、特に衝撃的だった…

天はもう要らない ー白銀の墟 玄の月 感想 ―

十二の国に、十二の王。 徳を天に認められた王と、その王を支える慈悲の生き物、麒麟。 仁治が約束された世界で、それでも争いは絶えない十二の国の物語の集大成は、 ‟天はもう必要ない” なのかもしれません。 白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫) …

『楽園』はどこにある

先日、吉田修一さんの本「犯罪小説集」が原作の公開中映画、『楽園』を観てきました。 rakuen-movie.jp (本も買いました) 公式HPから、あらすじを紹介します。 青田に囲まれたY字路で起こった少女失踪事件。12年後─、事件は未解決のまま、再び惨劇が起こ…

菜食主義者ー狂気の美と日常の憎悪

目立った特徴がどこにもない、「平凡でふつうな女」だと思っていた妻は、ある日を境に「知らない女」になってしまった…。 これは、Twitterで流れてきた『読んだら体調が悪くなる』という凄い感想を拝見し、俄然読みたくなった本です。実際、読んでみたらどう…

【解答編】夏は読書の季節

13日の金曜日。 何もないとわかっていても、来るたびにちょっと特別感のある13日の金曜日は、ちょっと得した気分になります。 それはさておき、今日は前回upした記事の解答編です。 完全に趣味で選んだ、しかもランダムに抜き出した箇所のクイズだったので、…

【問題編】夏は読書の季節?

読書の秋という言葉をよく聞くけれど、わたしにとっては夏の方が読書界隈の盛り上がらいを感じます。 夏休みの読書感想文に合わせた新潮文庫の100冊、集英社のナツイチ、角川のカドフェス(フェア名はこれで合っていただろうか。ちょっとうろ覚え)があって…

LINEアカウントが消えた

最近、思ったよりショックなことがありました。 友人とかつき合いの多い方ではないし、引っ越しやら進学やら転職の度に人間関係がリセットされることが多かったから、別に大丈夫で思っていました。 なのに。 たかがLINEアカウントが消えただけで、立ち直るの…

『車輪の下』から見た景色

夏休み新潮文庫100冊の定番、『車輪の下』を読了しました。 あまりにも有名なため、あらすじも知っていて読んでないのに読んだような気になる本のひとつで、ようやくちゃんと読めました。 300頁に満たない短い作品ですが、鬱屈した仄暗い雰囲気と、少年の目…

【おすすめできない】わたしの読書感想文

世間はいつの間にか夏休み。 周囲はお休みを取り始めたり、行楽らしき人を駅で見かけたりすると、夏休みがはじまったことを感じます。 自分の仕事は夏休みを一斉に取らないので、お盆もふつうに働くと思いますが、この時期のお祭り感は嫌いじゃありません。 …

結婚、ってなんだろう

周りの結婚ラッシュがはじまった。 職場の同期や先輩、大学時代のサークル仲間、そして小学校来の友人まで、ここ1、2年で次々と結婚していく様を見ると、ほんとうにラッシュってあるんだと普通に驚きました。 今日紹介するのはこの本です。 結婚帝国 (河出…

横溝正史を読む

ほぼ10年ぶりに横溝正史を読んだら、まんまとハマりました。 昭和の生糸王、 犬神佐兵衛の遺言状に端を発する凄惨な連続殺人事件に名探偵金田一耕助が挑む、日本のミステリ史に名を馳せる作品です。 犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫) 作者: …

若様組がいとおしい

畠中恵の明治西洋菓子シリーズ「アイスクリン強し」の前日譚、「若様組まいる」を読了しました。 若様組まいる (講談社文庫) 作者: 畠中恵 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/07/12 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る ずいぶん前にシリ…

純粋な推理の極限

「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ」 本の題名にもなったこの台詞。こんな短い一文から一つの筋道立った推論を導きだすことは可能なのか。安楽椅子探偵ものの純粋な推理の極限を見ることができる作品です。 九マイ…

アフリカという魅力

いつか読みたいと思っていた小説のひとつ、コンラッド『闇の奥』を読了しました。 闇の奥 (光文社古典新訳文庫) 作者: コンラッド 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/12/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る イギリスの船乗りマーロウが、…

【鵺の碑はいつ…?】鬼・河童読了

百鬼夜行シリーズの最新作の連続刊行第一弾と第二弾、『鬼』『河童』をやっと読了しました。 いつのまにか刊行されていて、最近まで知りませんでした。一瞬「鵺の碑が出た!!?」と驚いたのですが、同一シリーズの他作品でした。長編もとても待ち遠しいです…

読書会で紹介した本

最近、久しぶりに立て続けで読書会に参加をしてきました。 その読書会で紹介させていただいた本を、折角なので記事でも紹介してみます。 1冊目がこちら。 時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1) 作者: ジョセフィン・テイ,小泉喜美子 出版社/メーカー: 早川…

ブログを書くコストの話

ブログを書くのは、お金がかかる。 ついでに言えば、気力と体力も思ったよりかかる。 趣味ではじめて好きで続けているのに、なぜか書けずに苦しんでいる時間のほうが長いし、いつも締め切りに追われるような気分になるのも事実だったりします。 でも辞めよう…

【五十音順・おすすめ小説紹介】59冊目 恒川光太郎

おすすめ本紹介、59回目です。この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。今回は恒川光太郎氏。 夜市 (角川ホラー文庫) 作者: 恒川光太郎 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング 発売日: 2008/05/24 メディア: 文庫 購入: 1…

【小説が好き!の会】5/26読書会レポ

半年ぶりに、小説が好き!の会の読書会にお邪魔してきました。 久しぶりの参加でちょっとドキドキしながら伺ったのですが、相変わらず和気あいあいとした雰囲気で、活気ある読書会でした。 だいぶご無沙汰していたのに、結構覚えてくださっている方もいて何…

【アート×読書】ヨコハマ読書会参加レポ

先週の日曜日、ヨコハマ読書会さんに初参加してきました。 アート鑑賞会と読書会というちょっと斬新な取り合わせに心惹かれ、ドキドキしながらの参加でした。 【開催レポート】第19回ヨコハマ読書会&アート鑑賞会開催しました。 #ヨコハマ読書会 #対話型ア…

【五十音順・おすすめ小説紹介】58冊目 筒井康隆

おすすめ本紹介、58回目です。この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。今回は筒井康隆氏。 家族八景 (新潮文庫) 作者: 筒井康隆 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1975/03/03 メディア: 文庫 購入: 19人 クリック: 361回 この商…

【不条理を読む】シーシュポスの神話

『異邦人』で有名な不条理作家、カミュの随筆『シーシュポスの神話』を読了しました。 シーシュポスの神話 (新潮文庫) 作者: カミュ,清水徹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1969/07/17 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 42回 この商品を含むブログ (80…

【五十音順・おすすめ小説紹介】57冊目 陳舜臣

おすすめ本紹介、57回目です。この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。今回は耽美派から陳舜臣氏。 小説十八史略(一) (講談社文庫) 作者: 陳舜臣 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1992/01/08 メディア: 文庫 購入: 1人 クリッ…

【読了】リラと戦禍の風

4月の上田早夕里さんの新刊、『リラと戦禍の風』を読了しました。 リラと戦禍の風 作者: 上田早夕里 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2019/04/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 上田さんのイメージはSF寄りだったので、読む前からファン…

【空飛ぶ読書】パラグライダー体験に行ってきました

GWなので、パラグライダー体験に行ってきました。 スカイダイビングやグライダーに前から興味を持っていましたが、何となく機会を逃し続けていたので10連休を機に初挑戦してきました。飛行機もいいですが、グライダーは体験から競技まで幅広く現在でも行われ…

【五十音順・おすすめ小説紹介】56冊目 谷崎潤一郎

おすすめ本紹介、56回目です。この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。今回は耽美派から谷崎潤一郎氏。 痴人の愛 作者: 谷崎潤一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/08/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る…

【五十音順・おすすめ小説紹介】55冊目 谷川俊太郎

おすすめ本紹介、55回目です。この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。今回は詩人の谷川俊太郎氏のエッセイです。 ひとり暮らし (新潮文庫) 作者: 谷川俊太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2010/01/28 メディア: 文庫 購入:…

【五十音順・おすすめ小説紹介】54冊目 田辺聖子

おすすめ本紹介、54回目です。この記事では著者の五十音順に、わたしのおすすめ本を紹介しています。今回は田辺聖子氏。 新源氏物語(上) (新潮文庫) 作者: 田辺聖子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1984/05 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 18回 こ…